ルオン ティ ヴァン アイン さん

わたしのふるさと

ハノイに住んで19年になります。しかし、「ハノイはどんな町と思うか」と問われると、すぐ答えられません。ハノイはきれいで、いいところだと言うことは誰でも言えると思います。

ただ、私にはハノイは住んでいる所と言うだけではなく、それ以上の意味があります。変わりいくこの街に私も段々育っているのではないかと思います。

子供の頃は、ハノイはまだ小さくて、静かな街で、今と比べるとさまざま点が違いました。今は前より道が広くて、込んでいます。それに、道の両側にたくさん高い建物もあるし、道を走る乗り物も増えています。

ハノイは今とてもにぎやかな街です。そんなハノイもいいと思いますが、私は古くて、静かなハノイの方がずっと好きです。幼い日々には、顔を上げて、空を見上げたら、いつも青くて、高くて、広い空が見えました。

今は、空の一部だけが見えて、小さくて、狭い空のかけらなのです。高過ぎるビルが晴れて明るい空を隠してしまいました。それで残念です。でも、ハノイについて考えたら、変わることばかりでなく、昔のまま残っているものもあります。

春になると、ハノイの通りは桃の花の色で飾られて、きれいになります。ハノイの人たちは「バイチュン」と言うケーキを食べたり、友人と親類に会って、笑顔で話し合ったりします。夏が来たら、すぐ暑くなります。

学校の中に火炎樹と言う花が赤く咲いて、卒業の時の印になります。公園や道の両側に並んでいる木から蝉が夏を呼ぶように大きい声でなきます。いつも、蝉の声を聞くと、幼い日々に姉と一緒に公園で遊んだことを思い出します。それで、蝉の声がとても好きです。

夏が終わると、秋が来るんです。一年の中では秋が一番きれいな季節だと思います。秋は新しい学年が始まるときで、いつも学校は学生の笑い声で満ちています。それに、秋の空は夏空より好きです。夏空はまぶしくて、鮮やかな太陽に照らされます。秋の空は晴れているばかりでなく、浮かぶ雲もあるんです。そして、秋晴れは夏の日ざしよりやさしいそうです。私は秋晴れの中を歩くことが好きです。

最後の季節は冬です。ハノイの冬は短くてあまり寒くないです。でも、ハノイの冬は特別なものがあります。夜道を通る時に、冬にだけ咲く花の香りが嗅げます。とてもいい気持ちになって、本当に忘れられない気持ちなのです。

ハノイに住んでいる人たちはハノイの変わるのに気づかずに、日を送ります。しかし、いつかハノイを離れれば、ハノイのことをいとおしくおもうかもしれません。そんな人たちにハノイは自分の一部になっているらしいです。